賃貸の火災保険は自分で選べる?最低限必要な3つの補償と選び方

家のミニチュアに傘をさしかけながら親子で保険のパンフレットを見比べている水彩イラスト 契約・お金・トラブル

賃貸のお部屋探しを進めている私が、いちばん後回しにしていたのが「火災保険」のことでした。

前回、契約書と重要事項説明書の読み方を調べたときに、「火災保険は自分で選んで入れる場合が多い」ということを知りました。でも、そこで新しい疑問が生まれたんです。

じゃあ、どう選べばいいの? 言われるがままに入ると高いって聞くけど、安ければ安いほどいいの? そもそも火災保険って、何をどこまで補償してくれるの? 水漏れで下の階に迷惑をかけてしまったら……?

ぜんぶ、私自身が「わからない」と思ったことです。今回も、賃貸の契約はこれからの私が、痛い目にあわないために調べたことを正直にまとめます。同じように「言われるがままでいいのかな?」とモヤモヤしている方の参考になればうれしいです。

賃貸の火災保険は「自分で選べる」ことが多い

まず前提として、賃貸の契約では「火災保険(家財保険)に入ること」が契約の条件になっていることが多いそうです。これは大家さんの建物を守るためでもあるので、「保険そのものに入らない」という選択は基本的にできないと考えたほうがよさそうです。

ただし、ここが大事なポイントなのですが、「不動産会社が案内してくれた保険に必ず入らないといけない」わけではない、とされています。大家さんや管理会社が求める補償の条件を満たしていれば、自分で選んだ保険で契約できる場合が多いそうです。

そして、断るときの言い方にコツがあると知りました。「火災保険には入りたくないです」と言ってしまうと、契約の条件を満たせない話になってしまいます。そうではなくて、「火災保険は自分で選んで加入します」と伝えるのが正解なのだそうです。これなら大家さんの求める「保険に入った状態」はきちんと守られますよね。

気をつけたいのは、契約書や重要事項説明書に「指定の保険に加入すること」という特約が入っているケースです。この場合は勝手に判断せず、契約前に「保険は自分で選んでもいいですか?」と確認するのが安心です。ハンコを押す前に確認したいことは、契約書・重要事項説明書の記事にまとめています。

また、大家さん側から「賠償の補償額は◯◯万円以上」といった条件が指定されていることもあるそうです。自分で選ぶ場合は、その条件を満たす保険を選ぶ必要があります。ここは後ほど詳しく書きますね。

そもそも何を補償してくれるの?中身は「3つのセット」

「火災保険」という名前だけ聞くと、火事のときだけの保険に思えますよね。私もそう思っていました。でも調べてみると、賃貸向けの火災保険は、実際には3つの補償の組み合わせでできているのが一般的だそうです。

賃貸の火災保険(セットの中身のイメージ)
① 家財補償
自分の持ち物(家具・家電・服など)を守る
保険金額:◯◯◯万円 ←自分の持ち物に合わせて調整できる
② 借家人賠償責任 大家さんへ
火事や水漏れで「部屋そのもの」を傷めたときの賠償
保険金額:◯◯◯◯万円 ←大家さんが最低額を指定していることも
③ 個人賠償責任 下の階の人などへ
水漏れで下の階に迷惑をかけたときなどの賠償
ほかの保険と重複しやすい特約でもある(後述)
⬆ 水漏れの心配は「③個人賠償責任」がココ

ひとつずつ、ことばにするとこうなります。

  • ① 家財補償……自分の持ち物(家具・家電・服・食器など)が、火事や水濡れなどで損害を受けたときの補償。自分のための保険です。
  • ② 借家人賠償責任……自分の不注意の火事や水漏れで「借りている部屋そのもの」を傷めてしまったとき、大家さんに対する賠償を補償してくれるもの。
  • ③ 個人賠償責任……水漏れで下の階の方の家財を濡らしてしまったなど、他人への賠償を補償してくれるもの。日常生活の事故(自転車事故など)も対象になる契約が多いそうです。

「火災」保険という名前ですが、契約内容によっては水濡れや盗難なども対象になるそうです。どこまで入っているかは商品によって違うので、見積もりをもらったら、この3つがどうなっているかをまず見る。これが出発点になります。

水漏れで下の階に迷惑をかけたら、どうなるの?

私がいちばんリアルに想像できて怖かったのが、これです。洗濯機のホースが外れて、下の階の方のお部屋を濡らしてしまったら……集合住宅に住む以上、誰にでも起こりうることですよね。

調べてみると、水漏れの損害は「誰のものを濡らしたか」で、使う補償が分かれるそうです。

  • 下の階の方の家財や部屋を濡らしてしまった → ③個人賠償責任
  • 借りている部屋の床や壁を傷めてしまった → ②借家人賠償責任
  • 自分の持ち物が濡れてしまった → ①家財補償

ひとつの水漏れ事故でも、3つの補償がそれぞれの持ち場で働くイメージなんですね。だから3つセットになっているのか、と納得しました。

逆に、上の階からの水漏れで自分が被害にあった場合は、基本的には相手の方(またはその保険)から賠償してもらう話になるそうです。ただ、相手が保険に入っていない場合などに備えて、自分の①家財補償から先に受け取れる契約もあるとのこと。ここは商品によって違うので、見積もりの際に「上からの水漏れで被害を受けたときはどうなりますか?」と聞いてみると安心だと思います。

「もらい火」は火元に請求できないことがある

調べていて、いちばん「知らなかった……」と思ったのがこれです。

日本には「失火責任法」という明治時代からの法律があって、火元に重大な過失がなければ、もらい火で自分の持ち物が燃えてしまっても、火元の方に損害賠償を請求できないとされているそうです。

つまり、お隣の火事で自分の家財がぜんぶ燃えてしまっても、「弁償してください」とは言えない場合があるということ。そのときに頼れるのは、自分で入っている①家財補償なのだそうです。

「家財補償は自分が火事を起こしたときのためだけじゃなく、もらい火から自分を守るための保険でもある」——これを知ってから、火災保険の見え方が変わりました。

最低限必要なのはどれ?「安い=悪い」ではなかった

「自分で選ぶと安いと聞くけど、安ければいいの? 高ければ充実してるの?」——私はここが一番わからなかったので、整理してみます。

調べた範囲では、優先順位はこう考えるとよさそうです。

  • ②借家人賠償責任は外せない……そもそも賃貸契約の条件になっていることが多く、大家さんから「◯◯万円以上」と金額の指定がある場合はそれを満たす必要があります。目安として1,000万〜2,000万円程度という情報を見かけましたが、物件によって違うので、必ず不動産会社や大家さんに条件を確認してください。
  • ③個人賠償責任は「重複」をチェック……実はこの補償、自動車保険などの特約としてすでに入っていることがあるそうです。しかも1つの契約で家族まで対象になるものが多いとのこと。重複して入っても、受け取れるのは実際の損害額までとされているので、ダブっている分は掛けすぎになってしまいます。お手元の自動車保険などの証券を確認してみてください。
  • ①家財補償は「自分の持ち物に合わせる」……家財の保険金額は自分で選べる場合が多いそうです。持ち物が少なめの方なら金額を抑えられますし、ここを実態より大きくすると保険料も上がります。

こうして見ると、「安い保険」は手抜きなのではなくて、家財の金額を自分の暮らしに合わせて、重複を外した結果として安くなっていることがあるんですね。逆に「高い保険」は、家財の金額を大きめに設定しているだけ、ということもあるようです。

だから比べるときは、保険料の数字だけを見るのではなく、「3つの補償がそれぞれいくらに設定されているか」を並べて比べる。これが「安かろう悪かろう」を避ける見方なのだと理解しました。

個人賠償責任は、火災保険と自動車保険どっちで入るのが得?

ここまで調べたところで、私の中に新しい疑問が湧きました。「火災保険か自動車保険、どちらかで個人賠償に入っていれば水漏れのとき出るの?」「自動車保険の個人賠償は自転車保険の代わりになるって聞くけど、火災保険に付けた場合も同じ?」「そもそも名前が同じなら、中身も同じなの?」——気になったので、ここも調べました。

  • 個人賠償責任は、火災保険に付けても自動車保険に付けても、「日常生活で他人に損害を与えてしまったときの賠償」という中身は基本的に同じ性格の特約だそうです。どちらか1つに入っていれば、水漏れで下の階に迷惑をかけたときも対象になるとのこと。
  • 自転車事故で相手にケガをさせてしまったときの賠償も、火災保険に付けた個人賠償で対象になるそうです。いま多くの自治体で「自転車保険」の加入が条例で義務化されていますが、これは「相手への賠償に備える保険に入ること」を求めるものなので、火災保険の個人賠償責任特約でも義務を満たせるとされています(条例の内容は自治体で違うので、お住まいの地域のものは念のため確認を)。
  • ただし「名前が同じなら全部同じ」ではなく、会社や商品で差が出るポイントが2つあるそうです。①保険金額の上限(無制限〜◯億円など)と、②示談交渉サービスの有無(事故のとき、保険会社が相手との話し合いを代わりにしてくれるサービス)。付いているかどうかは証券や約款で確認できます。
  • ひとつ注意点も。自転車事故で自分がケガをした分は、個人賠償ではどちらに付けていても対象外だそうです(個人賠償はあくまで「相手への賠償」の保険なので、自分のケガに備えたい場合は別の補償になります)。

じゃあ、どっちで入るのが得なの? というと、「保険料がどちらが安いか」よりも先に見るポイントがあるようです。

  • 長く続ける保険のほうに付けるのが安心とされています。たとえば自動車保険に付けている場合、車を手放して自動車保険を解約すると、個人賠償の特約も一緒に消えてしまいます。賃貸に住んでいる限り火災保険は続くので、住まいの保険側に付けておくと「気づいたら無保険だった」を避けやすい、という考え方だそうです。
  • すでにどれかの保険に付いているなら、二重に入る必要はありません。保険金額と示談交渉サービスの有無を見比べて、条件のいいほうに1本にまとめる。これがいちばんムダのない形のようです。

「個人賠償責任」は、水漏れにも自転車にも日常のうっかりにも働いてくれる、小さいのに守備範囲の広い特約なんですね。だからこそ重複しやすい。新しく火災保険に入る前に、いまの保険の証券を1枚ずつ見て「もう入っていないか」を確認する——これが今回いちばんの節約ポイントかもしれません。

高価なものがある方は「明記物件」というルールに注意

実は私、「高価なものは1つずつ保険会社に伝えないといけない、って聞いたことがある」といううっすらした記憶がありました。調べてみたら、その正体は「明記物件」というルールでした。

1個または1組の価格が30万円を超える貴金属・宝石・書画・骨董などの美術品は、契約のときに申告して契約書に明記しておかないと、補償の対象にならないとされています(私の記憶では「10万円」だったのですが、調べたら30万円が一般的でした。こういう記憶違いがあるからこそ、思い込みで進めずに確認するのが大事だと実感しました……)。

ちなみに、高価なものすべてが対象ではなくて、高額な家電や家具は30万円を超えていても明記物件にはあたらないのが一般的だそうです。また、保険会社によっては申告のかわりに「1事故あたり◯◯万円まで」と上限を設ける方式のところもあるとのこと。大切な指輪や絵画などをお持ちの方は、契約前に「明記物件の扱いはどうなりますか?」と聞いてみてください。

引っ越し・解約のときの、ちょっと得するお金の話

火災保険は2年分などをまとめて払うことが多いそうですが、引っ越しなどで途中解約した場合、残りの期間分の「解約返戻金」が戻ってくることがあるそうです(まとめ払いの場合。残り期間が1ヶ月未満だと戻らないなどの条件もあるとのこと)。

逆に怖いのが、解約を忘れたまま引っ越して、新居で新しい保険に入ってしまうケース。二重に保険料を払うことになり、重複した分は原則返ってこないとされています。引っ越しのやることリストに「火災保険の解約(または住所変更)」をぜひ入れてください。同じ保険を新居に住所変更して引き継げる場合もあるそうなので、まずは保険会社に連絡です。

契約前に確認したいことリスト

ここまでの内容を、契約前に確認したいことのリストにまとめます。

  • 火災保険の加入は契約の条件になっているか
  • 保険は自分で選んでもいいか(「自分で選んで加入します」と伝える)
  • 契約書・重説に「指定の保険」の特約がないか
  • 大家さん指定の条件(借家人賠償の金額など)はいくらか
  • 見積もりの「3つの補償」それぞれの金額を確認したか
  • 個人賠償責任が自動車保険などの特約と重複していないか
  • 家財の金額は自分の持ち物の量に合っているか
  • 30万円を超える貴金属・美術品があるなら申告(明記物件)
  • 引っ越しのときは前の保険の解約・住所変更を忘れずに

お部屋探しの段階から準備しておきたいことは、内見でチェックしたい設備の記事にもまとめています。よかったらあわせてどうぞ。

まとめ:言われるがままじゃなくていい。でも「入らない」でもない

調べる前の私は、火災保険のことを「契約のときに言われるがままに入る、よくわからない出費」だと思っていました。でも今は、こう思っています。

  • 火災保険は、自分の持ち物と、大家さんと、ご近所の方を守る3つセットの保険だった
  • もらい火は火元に請求できないことがある。家財補償は自分のための保険
  • 自分で選んでいい場合が多い。断るのではなく「自分で選んで入ります」と伝える
  • 安くするコツは、値切ることではなく「家財の金額を暮らしに合わせる」「重複を外す」こと
  • ただし、大家さんの条件だけは必ず確認。ここを外すと契約の話が進まなくなってしまう

保険そのものは、私たちの敵ではなくて味方。ただ、中身を知らずに言われるがままだと、必要以上に払ってしまうことがある。知った上で、納得して選ぶ。それだけで十分なのだと思います。

※この記事は、私が調べた一般的な情報のまとめです。補償の内容・金額・条件は保険会社や契約、物件によって異なります。加入や見直しの際は、必ず各保険会社・代理店・不動産会社にご確認ください。

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