お部屋探しの情報を集めていると、「UR賃貸住宅」という言葉に出会うことがあります。テレビCMで聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
私も娘と二人で暮らすお部屋を探す中で、「そういえばCMで見たことある!」と思い出して、実際にURの店舗へ行ってお話を聞いてきました。
正直に告白すると、それまでの私のURの知識は「団地……だよね?」くらい。礼金がないと聞いたけど本当? 収入の基準があるって聞いたけど、どういうこと? 母子家庭だと安く借りられる制度もあるとかないとか……と疑問だらけでした。
そこで今回は、店舗で聞いてきたことに加えて、URのしくみ・メリットとデメリット・収入基準・割引制度、そしてよく混同される市営住宅(公営住宅)とのちがいまで、まとめて調べて整理しました。
私と同じように「URって名前は知ってるけど、実はよく知らない」という方は、ぜひ一緒に確認してみてください。
UR賃貸とは?|「団地」だけじゃない公的な賃貸住宅
UR賃貸住宅は、独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)が管理する公的な賃貸住宅です。昔の「公団住宅」の流れをくむもので、全国におよそ71万戸あるといわれています。
「URって団地でしょ?」というイメージ、私も持っていました。たしかに昔ながらの団地タイプも多いのですが、実際に探してみると、いま住んでいる地域にはURなのにタワーマンションのような物件もあってびっくり。場所によってかなり雰囲気がちがうようです。
もうひとつ聞いて納得だったのが、ファミリータイプが多く、ゆったりした間取りが多いということ。もともと家族向けに計画的に作られた住宅が多いので、収納や部屋数に余裕のある物件が見つかりやすいそうです。敷地内に公園や緑地が整えられている物件が多いのも、子どもと暮らす身にはうれしいポイントです。
URの最大のメリット|礼金・仲介手数料・更新料・保証人の「4つのナシ」
URの看板ともいえるのが、この「4つのナシ」です。
- 礼金ナシ:民間では家賃1か月分ほどかかることが多いお金がゼロ
- 仲介手数料ナシ:URが直接貸すので、仲介の手数料そのものがない
- 更新料ナシ:契約は自動更新で、更新のたびのお金も手続きもなし
- 保証人ナシ:保証人も保証会社も不要。つまり保証会社の保証料もかからない
入居時に必要なのは、敷金(家賃2か月分)と日割り家賃・共益費だけだそうです。
以前、賃貸の初期費用の内訳を調べたとき、礼金・仲介手数料・保証料で家賃の2〜3か月分近くになることを知って「そんなにかかるの!?」と驚いたのですが、URはそこがごっそりないわけです。これは大きい……。
→ 賃貸の初期費用の内訳と相場|消毒代・外せる項目・交渉のコツ
保証人・保証会社が不要という点も、じつは見逃せないところ。民間の賃貸では保証会社の利用がほぼ必須で、初回だけでなく更新のたびに保証料がかかる場合もあるからです。
URの収入基準|「家賃の4倍」の壁と、届かないときの道
ここが、私がいちばん「なるほど、そういうことか」と思ったところです。
URには入居審査の代わりに、はっきりした収入基準があります。細かい審査で人柄や勤務先を見られるのではなく、「基準を満たすか・満たさないか」だけのシンプルな世界なんだそうです。

世帯で申し込む場合の基準は、UR公式の案内でこうなっています(2026年7月時点)。
- 家賃8万2,500円未満 → 平均月収が「家賃の4倍」以上
- 家賃8万2,500円〜20万円未満 → 月収33万円以上
- 家賃20万円以上 → 月収40万円以上
たとえば家賃7万円のお部屋なら、月収28万円以上が目安ということになります。
「家賃の4倍って、けっこう高い壁じゃない?」と思いますよね。私も思いました。民間の賃貸では「家賃は月収の3分の1まで」がよく言われる目安なので、URの「4倍以上」は、それよりひと回り厳しめの基準です。
基準に届かないときの3つの道
ただ、ここであきらめるのはまだ早いんです。URには、月収が基準に届かない場合の道が用意されています。
- 貯蓄基準:家賃の100倍以上の貯蓄があれば、月収の代わりにできる
- 家賃の一時払い:1年分〜の家賃をまとめて前払いすれば、収入を問われない
- 収入合算など:基準月収の2分の1以上あれば、同居する親族との合算や貯蓄との併用で申し込める場合がある
「収入はぎりぎりだけど、養育費や貯えはある」という場合にも道があるのは、公的住宅らしいところだなと感じました。くわしい条件は物件や時期で変わるので、必ずUR営業センターで確認してくださいね。
ちなみに民間賃貸の入居審査については、こちらで流れを整理しています。
→ 賃貸の入居審査とは?流れ・日数・見られるポイントと通るコツ
母子家庭にうれしい割引制度|「すくすく割」と「子育て割」
「母子家庭や若い夫婦だと、少し安く借りられる制度があるらしい」——私が店舗で聞きたかったのも、まさにここでした。調べてみると、主にこの2つのようです(2026年7月時点)。
すくすく割|18歳未満の子がいる世帯の家賃が3年間おトク
満18歳未満の子どもを扶養している世帯(申込時に妊娠中も含む)が対象で、対象物件の家賃が3年間割り引かれる制度です。以前は「そのママ割」という名前だったそうで、そちらで覚えている方もいるかもしれません。
注意したいのは、これが「3年間の定期借家契約」だということ。ふつうの契約とちがって、3年の期間満了で契約がいったん終了します。そのあと住み続けられるか(再契約できるか)は物件によるので、申し込み前に必ず確認したいポイントです。
子育て割|最大20%・最長6年(新婚からの切り替えで最長9年)
こちらは子育て世帯(18歳未満の子を扶養・妊娠中含む)や新婚世帯向けに、家賃を最大20%(上限2万5,000円)減額してくれる制度です。期間は子育て世帯で最長6年間、新婚世帯は最長3年間、新婚から子育てに切り替わると通算で最長9年間になるそうです。
ただし、こちらは世帯の所得条件があり、毎年度の審査もあります。減額率も所得に応じて変わるしくみです。
割引制度の共通の注意点
- 対象になる物件が限られている(すべてのUR物件で使えるわけではない)
- 制度どうしの併用はできない
- 先着順なので、対象物件は埋まりやすい
ほかにも、35歳以下向けの「U35割」や、親世帯の近くに住むと割引される「近居割」などもあります。自分がどれに当てはまるかは、URの窓口で「使える割引はありますか?」と聞くのがいちばん早くて確実です。
エアコンや給湯器が壊れたら?|「修理細目通知書」で決まっている
私が店舗で聞きそびれて、あとから気になったのがこれ。「URは大家さんがいないけど、設備が壊れたら誰が直すの?」という疑問です。
調べてみると、URでは契約時に「修理細目通知書」という書類を渡され、何をURが直し、何を入居者が直すのかが最初から一覧で決まっているそうです。ふつうの賃貸だと「これは大家さん負担?自分負担?」でもめることがありますが、そこが書面ではっきりしているのは公的住宅らしい安心感です。
基本の考え方は民間の賃貸と同じで、備え付けの設備が経年劣化や自然故障で壊れた場合は貸主(UR)側の負担、入居者の不注意による故障や電球などの消耗品は入居者負担とされています。
ひとつ注意したいのはエアコン。物件や部屋によっては、エアコンが「URの設備」ではなく、前の入居者が残していったものや自分で設置するものの場合があります。その場合の修理・交換は自分持ちになるので、内見のときに「このエアコンはURの設備ですか?」と確認しておくと安心です。
デメリットも正直に|私がURをやめた理由
ここまでメリットを並べてきましたが、正直に、気をつけたいところも書きます。
- 築年数が古い物件が多い:URはおよそ6割が築40年を超えるともいわれています。リノベーション済みのきれいな物件もありますが、エレベーターのない階段の物件などもあります
- 家賃そのものは安くない:URは「初期費用が安い」のであって、毎月の家賃は周辺の相場並み。物件によってはやや高めのこともあるそうです
- 物件数が限られる:民間に比べると戸数が少なく、人気の物件・エリアは空き待ちになることも。希望の学区や駅の近くにURがあるとは限りません
- 収入基準の壁:先ほどの「家賃の4倍」に届かないと、貯蓄や前払いの道を使うことになります
実は私も、URを本気で考えた時期がありました。初期費用のことを考えると、本当に魅力的だったんです。でも最終的にやめました。理由は、職場と娘の学校からの距離。条件に合うURの物件が、毎日の通勤と通学の動線に合わなかったんです。
お金の条件がどれだけ良くても、毎日の暮らしの動線に合わなければ続きません。「制度のおトクさ」より先に「暮らしの動線」で絞り込む——これが、URを検討してみて私が持ち帰った答えでした。
市営住宅(公営住宅)とのちがい|「家賃が安い」のはこっち
URとよく混同されるのが、市営住宅や県営住宅などの「公営住宅」です。私も正直、ぜんぶ「公的な団地」とひとくくりに思っていました。調べてみると、実はしくみがまったくちがいます。

公営住宅|収入が一定以下の世帯向けに「家賃が安い」住宅
公営住宅は、住まいに困っている収入の少ない世帯のために、都道府県や市区町村が運営している住宅です。全国どの地域にもあります。家賃は収入に応じて決まるしくみで、民間よりぐっと抑えられるのが最大の特徴です。
そのかわり、URとは逆に「収入が一定額を超えていると申し込めない」所得の上限があります。また、家賃が安くて人気のため、抽選になることが多いのも特徴です。
そして母子家庭にとって心強いのが、多くの自治体でひとり親世帯への優遇があること。抽選の当選率を優遇したり、ひとり親向けの専用枠を設けたり、困っている度合いを点数化して優先したりと、方式は自治体によってさまざまだそうです。所得の上限もひとり親世帯は緩和される場合があります。
条件も募集時期も自治体ごとにちがうので、気になる方はお住まいの役所(住宅課など)で「ひとり親の優遇はありますか?」と聞いてみてください。自治体によっては、ひとり親向けの家賃助成制度を設けているところもあるそうです。
ひとり親が使える手当・支援の全体像はこちらにまとめています。
→ シングルマザーを支える手当・支援まとめ|私も助けられた5つの制度を解説
市営住宅と県営住宅のちがい|運営が「市」か「県」かだけ
「市営住宅と県営住宅って、何がちがうの?」——これ、私も気になって調べました。答えは意外とシンプルで、運営しているのが市区町村なら「市営住宅」、都道府県なら「県営住宅」。どちらも同じ公営住宅法にもとづく公営住宅で、しくみや入居条件はほとんど同じだそうです。
ちがいが出るのは、申し込みの窓口と募集のタイミングです。市営と県営は別々に募集されるので、両方チェックすれば申し込みのチャンスが増えることになります。地域にもよりますが、県営のほうが戸数が多く、募集の回数も多い傾向があるといわれています。
所得の上限はいくら?|ボーダーは「政令月収15万8,000円」
「いくらあったら入れないの?」の答えがこれです。公営住宅の収入の上限は法律のしくみで決まっていて、「政令月収」が15万8,000円以下というのが基本ラインです。そして18歳未満の子どもがいる世帯(ひとり親世帯を含む)や高齢者のいる世帯は「裁量世帯」として、21万4,000円以下まで緩和している自治体が多いそうです。
ここで大事な注意をひとつ。この「月収15万8,000円」は、お給料の額面でも手取りでもありません。世帯全員の年間所得から、家族の人数などに応じた控除を引いて12で割った「政令月収」という専用の計算値で、ふつうはお給料の額面より低い数字が出ます。
「私の月給だと超えてるから無理か……」とあきらめる前に、一度役所で試算してみてください。計算してみたら基準内だった、ということは十分ありえます。逆に「基準内のはず」と思っても家族構成や控除で変わることもあるので、正確な判定は必ずお住まいの役所(住宅課など)で。
住宅供給公社の「公社賃貸」|URと似ているけど別の組織
もうひとつ、「住宅供給公社」の賃貸住宅(公社賃貸)もあります。実は私、住宅供給公社=URだと思い込んでいました。調べてみたら、これは別の組織。URは国の機構、住宅供給公社は都道府県や政令指定都市が出資して作った自治体系の組織なんだそうです。
ただ、しくみはURとよく似ていて、礼金・仲介手数料・更新料が不要なところが多いとのこと。お住まいの地域に公社の物件があれば、URと合わせて選択肢に入れてみる価値がありそうです。
なお、公社賃貸には公営住宅のような所得の「上限」は基本的にありません。かわりに「一定の収入があること」という下限の基準が、公社ごとに決められています。また、18歳未満の子どもがいる世帯を優先的に受け付けてくれる公社もあるそうです。
間取りや場所はどんな感じ?
「団地」とひとくくりにされがちな3つですが、調べた範囲ではこんなイメージのようです。
- 公営住宅(市営・県営):2DK〜3DKほどの団地型が中心。家賃を抑えるための造りなので、エレベーターのない中層の建物も多め
- UR:ファミリー向けのゆったりした間取りが中心。昔ながらの大きな団地から、駅前のタワー型まで幅広く、敷地に公園や緑地があることが多い
- 公社賃貸:ファミリー向け中心で、雰囲気はURに近め
場所は、どれも「駅前の便利な一等地」というより、計画的に整備された住宅地にまとまって建っていることが多い印象です。ただしこれは本当に地域差が大きいので、気になる方は「◯◯市 市営住宅 募集」や「UR+駅名」で検索して、実際の物件の場所を地図で見てみるのがいちばん早いです。
3つをまとめて比較
| UR賃貸 | 公社賃貸 | 公営住宅(市営・県営) | |
|---|---|---|---|
| 運営 | 国の機構(UR都市機構) | 自治体系の住宅供給公社 | 市区町村・都道府県 |
| 収入の条件 | 下限あり(家賃の4倍など) | 下限あり(公社ごと)。上限は基本なし | 上限あり(政令月収15万8,000円以下。18歳未満の子がいる世帯は21万4,000円以下に緩和が多い) |
| 家賃 | 相場並み | 相場並み | 収入に応じて安い |
| 初期費用 | 敷金2か月のみ(礼金・仲介手数料・保証料ナシ) | 礼金・仲介手数料ナシが多い(敷金は公社ごと) | 礼金ナシ。敷金は自治体ごと |
| 申込み | 先着順 | 先着順が多い | 抽選が多い(ひとり親の優遇あり) |
| 向いている人 | 初期費用を抑えてゆったり住みたい | URと似た条件で選択肢を増やしたい | 収入が基準内で、毎月の家賃を抑えたい |
まとめ|URは「初期費用を抑えてゆったり住みたい人」の選択肢
最後に、今回調べたことをまとめます。
- URは国の機構が運営する公的賃貸。礼金・仲介手数料・更新料・保証人(保証料)の「4つのナシ」で初期費用がぐっと軽い
- 入居には収入基準(世帯なら家賃の4倍など)がある。届かなくても貯蓄・一時払い・収入合算の道あり
- 18歳未満の子がいる世帯は「すくすく割」(3年間・定期借家)や「子育て割」(最大20%・最長6年)が使える場合がある。対象物件は限られるので窓口で確認を
- 設備の修理は「修理細目通知書」で負担が最初から決まっている。エアコンだけは「URの設備かどうか」を内見で確認
- 弱点は築年数・物件数・家賃そのものは安くないこと。おトクさより先に「職場・学校への動線」で絞るのが失敗しないコツ
- 家賃自体を安くしたいなら、所得の上限つきで家賃が安い「公営住宅」(上限は政令月収15万8,000円以下・18歳未満の子がいる世帯は21万4,000円以下に緩和が多い)。ひとり親の優遇がある自治体も多いので役所へ
制度の細かい条件や割引の対象物件は、時期によって変わります。この記事は2026年7月時点で調べた内容なので、実際に申し込むときは、UR営業センターや役所の窓口で最新の条件を確認してくださいね。
お部屋の候補が見つかったら、次は内見と初期費用のチェックです。こちらの記事もあわせてどうぞ。


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