離婚の「公正証書」とは?調停したくない人へ。相手と会わずに作る方法も解説

離婚・シングルマザー

「離婚はしたい。お金や子どものことも、きちんと決めておきたい。でも、調停まではしたくない……」。そう感じている方は、多いのではないでしょうか。

夫婦の話し合い(協議)で離婚を進める場合に、ぜひ知っておいてほしいのが「公正証書」です。今日は、公正証書とは何か、なぜ大切なのか、そして「相手と二人で行くなんて無理」という方への方法まで、わかりやすく解説します。

調停は、家庭裁判所に申し立てて、何度も期日に通って…と、時間も手間もかかります。「そこまではしたくない。でも、何も決めずに別れるのは不安」——そんな”あいだ”で悩む方にこそ、公正証書はぴったりの選択肢です。

※私自身は裁判での離婚だったので、公正証書は作っていません。でも、これから協議で進める方には、本当に知っておいてほしい大切なことなので、調べてまとめました。具体的なことは、公証役場や、弁護士・行政書士などの専門家に相談・確認してください。

公正証書とは?

公正証書とは、「公証人」という法律の専門家が作成する、公的な文書です。離婚の場合は、養育費・財産分与・慰謝料・年金分割など、夫婦で決めた取り決めを、正式な書面として残すものです。

口約束だけだと、「言った・言わない」でもめたり、約束が守られなかったりすることがあります。公正証書にしておけば、取り決めが公的な記録として残るので、安心感がまるで違います。原本は公証役場に長期間(20年以上)保管されるので、紛失や書き換えの心配もありません。

公正証書に書ける内容は、たとえば、養育費の金額・支払い方法・いつまで払うか、財産分与、慰謝料、年金分割、子どもとの面会交流のことなど。お金や子どもに関する大事な約束を、まとめて一つの書面に残せます。

いちばんのメリット:「強制執行認諾」

公正証書の最大の強みが、「強制執行認諾(きょうせいしっこうにんだく)」という文言を入れられることです。

これを入れておくと、たとえば養育費が途中で支払われなくなったとき、裁判を起こさなくても、相手の給料や財産を差し押さえる手続きができます。口約束では、もし不払いになっても、また一から手続きをしなければなりません。この違いは、本当に大きいです。子どものための養育費を守る”お守り”のような存在、といえます。

養育費が、途中から支払われなくなってしまうケースは、残念ながら少なくありません。「最初は払うと言っていたのに、だんだん…」というのは、よく聞く話です。だからこそ、もしものときに備えて強制執行認諾を入れておく意味は、とても大きいのです。

「ここまでしなくても…」と思うかもしれません。でも、別れたあとの相手との関係は、こちらの思うようにはいかないもの。だからこそ、約束を”気持ち”ではなく”形”で残しておくことが、自分とお子さんを守ることにつながります。

公正証書を作る流れ

  1. 夫婦で、取り決めの内容(養育費・財産分与など)を話し合って決める
  2. 公証役場に申し込み、必要書類を準備する
  3. 公証人が、内容をもとに公正証書の案を作成する
  4. 夫婦双方が公証役場で内容を確認し、署名・押印して完成

必要書類は、本人確認書類・印鑑証明書・実印・戸籍謄本などが一般的です(年金分割をする場合は、年金分割のための情報通知書も)。くわしくは、最寄りの公証役場で確認してください。

費用は、取り決める金額(養育費の総額など)によって変わります。数万円ほどが目安とされますが、こちらも公証役場で確認できます。専門家に依頼する場合は、別途その費用もかかります。

【救いの手】「相手と二人で行くなんて無理」という人へ

ここまで読んで、「公正証書は良さそう。でも、相手と一緒に公証役場へ行くなんて、とても無理……」と感じた方もいるかもしれません。もう顔も見たくない、という状況の方も、多いと思います。

でも、安心してください。進める方法は、あります。

公正証書は、原則は夫婦双方が公証役場へ行きますが、「代理人」を立てれば、本人が行かなくても作成できます。委任状などの準備は必要ですが、これを使えば、相手と顔を合わせずに進めることも可能です。

さらに、弁護士や行政書士などの専門家に依頼する方法もあります。専門家が間に入って、取り決めの案文を作ったり、手続きをサポート・代理してくれるので、当事者同士が直接やり取りせずに進められることもあります。「もう会いたくない」という気持ちのままでも、進める道は、きちんと用意されているんです。

「相手と会いたくないから」と、取り決めそのものを諦めてしまう方もいます。でも、それで損をしてしまうのは、自分とお子さんです。会わずに進める方法があると知っているだけで、選べる道は変わります。

※具体的な方法や、できる・できないは、状況によって異なります。必ず公証役場や、弁護士・行政書士に相談してください。

「弁護士と行政書士、どちらに頼めばいいの?」と迷うかもしれません。大まかに言うと、もめごとが大きい・相手と争いがありそうなら弁護士、話し合いはおおむねまとまっていて書面づくりをサポートしてほしいなら行政書士、という選び分けが一般的です。どちらも無料相談を受けられるところが多いので、まずは気軽に相談してみてください。

これから協議離婚を考える、あなたへ

離婚の話し合いは、早く終わらせたい一心で、つい口約束で済ませてしまいがちです。でも、特に子どもの養育費は、未来のわが子を守るお金。だからこそ、公正証書という形に残しておくことを、強くおすすめします。

そして、「相手と関わるのが無理」でも、どうか一人で抱え込まないでください。代理人や専門家という、頼れる方法があります。あなたと、お子さんの新しい暮らしを守るために、頼れるものは、遠慮なく頼ってくださいね。離婚の手続き全体の流れはこちらの記事、離婚後にやることはこちらのリストにまとめています。あなたの新しい一歩を、心から応援しています。

離婚は、終わりではなく、新しい生活の始まりです。その始まりを少しでも守るために、公正証書という”備え”があることを、頭の片隅に置いておいてください。知っているのと知らないのとでは、いざというときの安心感が、まったく違いますから。

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