「転職したい。でも、いま働きながら、どうやって活動するんだろう」
私が転職を考え始めたとき、いちばん最初にぶつかったのがこれでした。面接は平日の日中に組まれます。応募書類も書かなければいけません。かといって、仕事を辞めてから探すのは、収入のことを考えると私には選べませんでした。
正直に書くと、活動を始めてから内定が出るまで、私は約1年半かかりました。応募した会社は65社以上。面接まで進めたのは、そのうち6社です。その1年半、ずっと働きながら活動していました。
「働きながらなんて、そんな余裕あるの?」と思われるかもしれません。余裕は、まったくありませんでした。半休を取った日の午前中は、仕事が手につかない状態でした。それでも私は、在職中に活動することにこだわりました。
そこで今回は、在職中の転職活動を私がどう進めたのかを、時間の作り方・会社への伝え方・Web面接の場所・内定が出たあとの退職まで、順番に書いていきます。休暇や退職のルールは公的な情報もあらためて確認しました。私と同じように、働きながら次を探そうとしている方は、ぜひ一緒に確認してみてください。

在職中の転職活動でつまずくのは、この5つでした
1年半の活動を振り返ると、私が困ったことは、だいたいこの5つに分けられます。
- 会社に言うのか、言わないのか
- 面接の時間をどう作るか
- 書類を書く時間をどう作るか
- Web面接をどこで受けるか
- 内定が出てから、どうやって辞めるか
どれも、求人サイトには書いていないことばかりです。ひとつずつ、私がどうしたかを書いていきます。
会社には言う?|私は最後まで言いませんでした
私のモットー|極秘で、水面下で動く
これは私の中で、迷う余地がありませんでした。絶対に言わない。同僚にも、仲のいい人にも、言いませんでした。
決めていたのは、これだけです。
極秘。誰にも気づかれないように、水面下で動く。
バレるようなことがあったら、すぐに広がります。そして転職活動は、必ず決まるとは限りません。決まらなかったときに「あの人、辞めたいらしい」という空気だけが残った場所で、そのまま働き続けることになります。
だから、有給を取るときも、面接のことは口に出しませんでした。
それでも、気づいていた人がいました
ここが、私の1年半でいちばん忘れられない場面です。
内定が決まって、いよいよ退職を伝えたとき。いちばん身近だった上司から、こう言われました。
「転職活動してるんだろうな、ってわかってたよ」
驚きました。何も言っていないつもりだったのに、伝わっていたのです。その上司は、それまでもいろいろな場面で助けてくださっていた方でした。何かわかるものがあったのかな……と、あとになって思いました。
そして、その方は最後まで私の味方でいてくれました。
だから、「言わない」を選んだことは今でも後悔していませんが、それとは別に、見ていてくれる人はいるのだな、と思います。黙って進めることは、後ろめたいことではありません。ただ、まわりを敵だと思わなくていい、ということだけは書いておきたいのです。
面接の時間はどう作る?|私は半休を使いました
半休|面接の時間は、会社によってちがうから
面接の時間は、会社によってバラバラです。午後の早い時間のこともあれば、夕方のこともあります。こちらが「この時間でお願いします」と決められるものではありません。
だから私は、半休で動くことにしました。1日まるごと休むと日数が足りなくなりますし、半日なら、指定された時間がどこであっても午後で受けられるからです。
面接の日の流れは、だいたいこうでした。
- 午前中はいつもどおり出勤して仕事
- お昼で退勤(半休)
- いったん帰宅してスーツに着替える
- 午後、面接へ
ただ、正直に書きます。午前中の仕事は、まったく手につきませんでした。
頭の中では面接のシミュレーションをずっとしていて、心ここにあらずの状態だったと思います。「あの質問が来たらこう答えて」「逆質問はこれを聞いて」と、ぐるぐる考えていました。手元の仕事はしているのに、中身が入っていない。あの感覚は、いま思い出しても落ち着かない気持ちになります。
もしこれから半休で面接に行く方がいたら、午前中に大事な仕事や締め切りを入れないことだけ、先に決めておくといいかもしれません。私は何度も、午前中の自分に申し訳ない気持ちになりました。
有給の理由|言う義務はないとされています
「有給を取るとき、理由を聞かれたらどうしよう」と気になる方もいると思います。
調べてみると、労働基準法には有給休暇を与えるための要件として「取得の理由」は定められておらず、理由を告げなければ有給を取らせない、というルールを会社が作ることは違法とされています。私用のために取ることも問題ないとされています。
つまり、面接のために有給を使うこと自体は、法律の上で後ろめたいことではないようです。
ただし、これは「聞かれない」という意味ではありません。実際には「どこか行くの?」と声をかけられる場面もあります。私はうそをつくのも気が重かったので、聞かれても困らない範囲の言い方にとどめて、それ以上は広げませんでした。
半休がない会社もある|就業規則を先に見ておく
ここで一つ、注意したいことがあります。調べてみると、半休(半日単位の有給)は、法律で義務づけられた制度ではないとされています。会社が就業規則に定めて導入しているもので、半日の区切り方(午前休・午後休など)や取得できる上限も、会社によってちがうそうです。
つまり、半休が使えるかどうかは、勤め先の就業規則しだいということになります。私は半休が使える会社にいたので、この方法が取れました。
もし半休の制度がない場合は、こんな方向も考えられます。
- 1日まるごと有給にして、その日に面接を2社まとめる
- 時間単位の有給(労使協定を結んだ会社で、年5日を上限に導入できる制度とされています)が使えるか確認する
- 面接の時間を就業時間のあとに組めないか、応募先に相談してみる
- Web面接が可能かを応募先に確認する
自分の会社で何が使えるかは、応募を始める前に就業規則を見ておくと、あとがずっと楽になります。制度の細かいところは会社ごとにちがうので、最終的には勤め先の規定を確認してください。
書類を書く時間|自宅の空いた時間に、少しずつ
企業研究をしすぎて、どこがどんな会社か分からなくなりかけた
履歴書と職務経歴書は、自宅の空いた時間に書いていました。まとまった時間はなかったので、少しずつです。
応募するために、その企業のことも調べます。事業内容、社風、募集の背景。1社ずつ、ていねいに調べていました。
そうしているうちに、こうなりました。
ぶっちゃけ、どこの会社がどんな会社か、分からなくなりかけていたんです。
65社以上に応募していたので、当然かもしれません。A社で読んだ話とB社で読んだ話が、頭の中で混ざっていく。「この会社、たしか年間休日が多かったような……あれ、別の会社だったかな」という状態です。
これは、在職中に活動する人ほど起きやすいことだと思います。まとまった時間が取れないぶん、調べる作業が何日にも分かれるからです。
面接が終わったら、すぐメモ帳
混ざるのを防ぐために私がしていたのは、とても地味なことです。
面接が終わったら、会社を出てすぐメモ帳に書く。
聞かれたこと、答えたこと、気になったこと。オンラインの面接でも同じで、終わったらすぐ書いていました。時間がたつと、細かいところから消えていってしまうからです。
このメモは、次の面接の準備でそのまま使えます。「前の会社でこう聞かれたな」が残っているだけで、シミュレーションの質が変わりました。面接の準備そのものについては、こちらにくわしく書いています。
→ シングルマザーの転職面接|子どもの質問・服装・逆質問まで【実体験】
Web面接はどこで受ける?|机の位置をずらしました
Web面接は、自宅の部屋で受けました。
このとき私がしたのは、机の位置をずらすことです。
理由は、白い壁が背景にあったほうが第一印象がいいと聞いたからでした。もともとの机の場所では、背景に部屋の中が映ってしまう。そこで、白い壁を背にできる位置まで机を動かして、そこで面接を受けました。
あとで調べてみると、これは的を外していなかったようです。Web面接の解説では、白い壁は「清潔」「明るい」といった印象につながりやすく、白い背景で失敗することはまずないと紹介されています。白い壁がない場合は、無地の単色になるようにする、家具が映ってしまうなら白い布をかけるという方法もあるそうです。
机を動かすのは10分もかかりません。それだけで背景が変わるなら、やって損はないと思います。
あわせて、私が気をつけていたのはこのあたりです。
- 背景に生活感のあるものが入らないようにする
- 部屋が暗くならないように、顔に光が当たる向きにする
- 始まる前に、自分の映り方を一度確認しておく
服装と第一印象|鏡の前で、何度も笑顔を作りました
服装は、スーツで行きました。Web面接でも、対面でも同じです。
それから、髪です。肩より下の髪はアップにまとめました。清潔感が出るようにと考えたからです。
そしてもう一つ、これは書くのが少し照れるのですが。
鏡の前で、何度も笑顔を作っていました。
第一印象を良くしたかったからです。40代で、応募しても不採用が続いていて、自分に自信があったとは言えない時期でした。それでも、面接の最初の数秒でどう見えるかは、自分で変えられる部分です。表情は、練習でどうにかなる。だからやっていました。
いま振り返ると、あの練習は表情のためだけではなかったのかもしれません。鏡の中の自分に「大丈夫」と言い聞かせる時間でもあったのだと思います。
内定が出てから退職まで、約3か月かかりました
ここからが、在職中の転職活動でいちばん見落としやすいところだと思います。内定が出ても、すぐには辞められません。
私の場合、内定から実際に退職するまで約3か月かかりました。そして正直に書くと、辞めるのが、すごく大変でした。
退職の申し出のルールは、法律と就業規則の二段構え

「いつまでに言えばいいのか」は、調べてみると二段構えになっていました。
- 法律(民法627条):期間の定めのない雇用契約の場合、退職を申し入れてから2週間で契約は終了するとされています。会社の承諾は必要なく、就業規則で「1か月前」と定められていても法律が優先される、という考え方が示されています。
- 就業規則:実際の会社では「退職は1か月前まで(会社によっては2〜3か月前まで)に申し出る」と定めているところが多いようです。法律上は2週間で成立するとしても、引き継ぎのことを考えると、円満に辞めたい場合は就業規則に沿うほうが望ましいとされています。
たとえば、就業規則に「退職は1か月前までに申し出る」とある会社で、8月1日入社を目指すとしたら、こんな並びになります。
- 6月中旬:内定・入社日の相談
- 6月末まで:退職の申し出(1か月前)
- 7月:引き継ぎ・残っている有給の消化
- 7月末:退職
- 8月1日:入社
こう並べると1か月で足りそうに見えますが、実際は引き継ぎの相手が決まらない、後任の採用が間に合わないといったことで、この通りに進まないことがあります。私の3か月も、そういう時間でした。
だから、応募先に入社日を伝えるときは、就業規則の申し出期間+引き継ぎの実際を見ておいたほうが安全だと思います。ここは会社によってまったくちがうので、必ず自分の勤め先の就業規則を確認してください。判断に迷うようなことがあれば、労働基準監督署の相談窓口や専門家に相談する方法もあります。
「何かな……」という直感を、見て見ぬふりした過去
辞めるのが大変だった話には、もう一つ続きがあります。
振り返って思ったのです。やっぱり、最初の直感が当たっていたと。
その会社に入るとき、私は「何かな……」という第一印象を持っていました。うまく言葉にできない、ほんの小さな違和感です。
そのときの私が、どういう状況だったのかを書いておきます。
出産を機に、10年働いた経理の仕事を辞めていました。そのあと、人生は自分が思っていたのとはちがう方向へ進みます。まだ小さい娘との生活の基盤を、これから作らなければいけない。私には仕事がなく、収入もありませんでした。
生活があります。だから、その違和感を見て見ぬふりして決めました。あのときの自分の選択を責める気持ちはありません。あれは、選ばざるを得ない状況での選択でした。
誤解しないでいただきたいのですが、これは「その会社が悪い会社だった」という話ではありません。私に合っていなかった、という話です。合う・合わないは、良い・悪いとはちがいます。
ただ、ひとつだけ確かなことがあります。収入がない状態で選ぶと、直感を見なかったことにできてしまう。これは、私が自分で経験したことです。
そして、守るものがある人ほど、ここは効いてくると思います。自分ひとりの生活なら「少し無理をしてでも」と踏み込めることも、子どもの生活がかかっていると、そうはいきません。だからこそ、選べる状態で選ぶことに意味があるのだと思っています。
だから、次は妥協しないと決めていました
ここが、私が在職中の活動にこだわった本当の理由です。
仕事を辞めてから転職活動をすると、収入のことがあります。それだけではなくて、募集しているタイミングもあります。行きたいと思える会社が、自分の都合のいい月に募集を出してくれるとは限らないのです。
実際に調べてみると、中途採用の求人は1〜3月・5〜6月・8〜10月あたりに増える傾向があると紹介されています。次の年度に向けて採用計画を立てる時期や、組織の編成が落ち着いた時期が重なるからのようです。
つまり、いい求人と出会えるかどうかには、待てる時間が効いてきます。収入がある状態なら、「今月はいいところがなかった」と見送ることができます。収入がなければ、見送れません。
だから私は、仕事をしながら、いまより良い条件を探しました。妥協はしたくなかったからです。
1年半かかったのは、たぶん、妥協しなかったからだと思います。
いちばんしんどかったのは、不採用通知が続いた時期
ここまで書いてきて、順調に進めたように見えたら申し訳ないので、正直に書きます。
いちばんしんどかったのは、不採用通知ばかりで、まったく手応えがなかった時期です。
65社以上応募して、面接まで進めたのは6社です。逆に言えば、書類の段階で先へ進めなかった会社がたくさんあります。40代で、求人票には「35歳以下」と書かれていることも多い。応募しても、応募しても、同じような文面のメールが届きます。
「ずっと今のままなのかな……」
お先真っ暗でした。本当に、辛かったです。
それでも続けられたのは、これだけでした。
「このままずっとここじゃない! 絶対に転職成功する!!」
この気持ちだけで、やり抜きました。そして、やり抜いて本当によかったと思っています。諦めずにやったから今の私がいると、心から思えるからです。
もし今、不採用通知が続いていて、手応えがなくて、お先真っ暗な気持ちでいる方がいたら。その時期があることは、おかしいことではありません。私も同じところにいました。応募した数のほとんどが、先へ進めなかった数です。それでも、その先はありました。
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まとめ|在職中の転職活動で、やってよかったこと
最後に、私が在職中の1年半でやってよかったことをまとめます。
- 会社には言わなかった。決まらなかったときのことを考えると、これは今でも正解だったと思っています
- 半休で面接に行った。午前中は仕事が手につかないので、大事な仕事は入れないようにしておく
- 有給の理由は言う義務はないとされている。それでも、聞かれたときの答え方は先に決めておくと気が楽
- 半休が使えるかは就業規則しだい。応募を始める前に確認しておく
- 面接が終わったら、すぐメモ帳。応募数が増えると会社の記憶は混ざるので、これが効く
- Web面接は白い壁を背に。机の位置をずらすだけで背景は変わる
- 内定から退職までは想像より時間がかかる。就業規則の申し出期間+引き継ぎの実際を見ておく
- 収入がある状態で探すと、妥協しないでいられる。これがいちばん大きかったです
働きながらの転職活動は、正直に言って、しんどいです。半休の午前中は落ち着かないし、書類は夜に少しずつしか進まないし、不採用通知は続きます。
でも、収入がある状態で探せるというのは、思っているよりずっと大きな強さです。焦らないでいられるからです。焦らないでいられると、自分の直感を見なかったことにしないで済みます。
いま働きながら次を探している方を、私は応援していますよ。1年半かかった私でも、たどり着けました。あなたにもきっとできます。
なお、有給休暇や退職の申し出のルールは会社の就業規則によってちがう部分があります。実際に動く前に、必ず勤め先の規定を確認してください。判断に迷うことがあれば、労働基準監督署の相談窓口などに相談する方法もあります。

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